べっ甲について

べっ甲の由来

べっ甲細工は、もともと中国の技術です。
前漢の武帝が設置した楽浪郡の遺跡から、べっ甲の櫛が出土しており、また万里の長城で名高い秦の始皇帝の王冠の一部がべっ甲で装飾されていたといわれています。
今から約1400年程前、隋より小野妹子が持ち帰った皇室への献上品の中に、べっ甲を用いた美術品があり、奈良・正倉院の宝庫に、我が国に現存する最古のべっ甲として保存されています。
我が国におけるべっ甲制作の歴史は、300数十年です。
徳川幕府の鎖国政策によって、和蘭人と中国人による長崎一港での貿易となった為、べっ甲原料を容易に入手できた長崎で、べっ甲細工は発達し、丸山花街の装髪具にも用いられ、京都・江戸へと流行しました。

現在は、鼈甲(べっ甲)細工と呼びならわされていますが、本来は、玳瑁(たいまい)細工が正しい名称です。
玳瑁は、字の如く珊瑚(さんご)や琥珀(こはく)と同様、宝玉、珠玉などを表す「王偏」です。
このことからも、玳瑁が中国の昔から珍重されていた事が伺われます。

では何故、何時の頃から、玳瑁が鼈甲と呼ばれるようになったのでしょうか。
これは、江戸時代、奢侈(しゃし)禁止令〈贅沢禁止令〉が出された時に、玳瑁製の櫛、かんざし類を、亀として価値の低い鼈甲製のものと言い逃れた為と言われています。
従って現在でも、献上品等の場合には、「玳瑁製○○」という表現が用いられます。

べっ甲細工の原料

べっ甲細工は、南洋諸島、カリブ海、およびアフリカ沿岸等に生息するタイマイ(玳瑁)という海亀の背甲、腹甲、ツメとよばれる体の縁の部分の3ヶ所を用いて作られます。
背甲は、黄・茶または黒色の斑点模様が特徴ですが、黄色部分の多いものほど上物とされ、特に腹側の黄色(あめ色)一色の甲羅から作られる製品は、その希少価値のため珍重されています。

職人

伝統の技を守り続ける職人たち。そして歴史と伝統を感じる道具類ガラス越しに作業風景を見学することができます。

べっ甲細工の製作工程

①図案作り(デザイン)

②生地選び

べっ甲の甲羅は、色、厚みなど様々ですので、素材を生かし、図案に合うものをここで決めます。
この時の模様の生かし具合が、出来上がりに大きく影響します。
その為に手造りに頼らざるを得ません。

③切りまわし

原料の上に直かに型取りをして、のこぎり(糸鋸)で切り抜きます。

④きさぎ

工具を用いて削り、滑らかにします。

⑤接着

水と熱と圧縮により、一定の厚みの生地をつくります。
接着する際に、接着剤は一切用いません。「水と熱の芸術」と言われるゆえんです。
接着には、その品物の特徴により、「焼きごて」「火ばし」(ペンチを大きくしたような形状)「万力」の三つの方法がとられます。
いずれもべっ甲に熱を加えて接着する為の方法です。
この時の熱のかけ具合が、非常に難しく、熱すぎると生地を焦がしてしまい、ぬるすぎると接着があまく、はがれてくる事になります。
この時の熱加減は、すべて「勘」に頼るしかありません。
これは、教えられただけで会得できるものではなく、自分で経験を積み、体得するより方法はありません。

⑥彫刻

図案に従って彫刻します。

⑦磨き

磨きをかける事により、べっ甲細工独特のやわらかな光沢がでます。

ご購入の際に

※べっ甲細工は、天然素材の原料を使い、一点一点手造りしている為、サンプルの写真と色合いや柄が多少異なる場合がございます。予めご了承ください。
※定期的に在庫確認しておりますが、ホームページ掲載商品は、長崎の実店舗の店頭でも並行して販売している為、ご注文いただいた商品の在庫がない場合がございます。新たにお造りする際には少々お時間をいただいておりますので、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。